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あなたのすきなところ100こ言わせて

関ジャニ∞さんがすきです/安田担/24歳

自担が結婚するとか言う噂をきっかけにオタクがあれこれ考えた話

  ど新規クソ野郎のわたしが、「これがジャニオタの苦悩なのか…!ああ!」と実感した出来事がありましたので、それについていろいろ考えた結果。
※読んでくださる方へ。ただのデマについて、オタクがあれこれ1人で勝手に悩み、1人で勝手にスッキリして前向きになった話なので軽い気持ちで読んでほしいです。もはや中盤あたりは文末に(ガセでしたが)をつける勢いで読んでください。




  2月9日。けだるい火曜日。いつものように出先で用事を済ませたわたしは、車に乗り込み、エンジンをつけると同時にiPhoneを取り出した。Twitterをなんとなく眺め、慣れた手つきで自担の名前を検索欄にうちこんだ。職場に戻る前の、いつもやってる息抜きである。

  しかし、息は抜けるどころかつまった。わたしの目を釘付けにしたのは、彼のプリチーな笑顔やオス丸出しのエロい顔の画像ではなく、検索欄に突如現れた彼の名前の隣に並ぶ"結婚"の二文字。違和感しかないそれを見つめたまま数秒間固まるわたしをからかうかのように、カーステレオの音楽は鳴り響いていた。『誰とも付き合わないって〜言ったじゃないか〜〜』
  ステレオよ、誰がうまいことやれと言った。



  結論から言えば、今回のそれはただの噂に過ぎなかった。メンバーみんなでファミクラに行くということは最近の同事務所他グループのあれこれからして、解散やメンバーの脱退があるのではないかという、ライオンも宇宙に行ってしまいたくなるような飛躍しまくりの憶測が伝播し大騒ぎになったようだ。

   そして、もしかしてメンバーが結婚するのではないか説を提唱する者が現れ、グループの中で1番結婚する可能性が高いメンバーとして白羽の矢がたってしまったのがわたしのきゃわゆい目に入れても痛くない自担だったのである。
  タイムラインを眺めれば、『こんなくだらない噂を流すな』と怒る人『やだやだやだ』『死ぬ』『無理』と噂を信じ鬱ツイートを垂れ流す人『今日のごはんはなにかな〜』と慣れているのか今回の一連に全く関心を持たない人など、多種多様で、様々な反応を見るのは大変面白かった。
  
 じゃあ、わたしは?
 わたしは、どんな反応していた?

  まず、結婚の二文字を目にして固まった。
 冷えた指先で画面をスクロールし、ただひたすらタイムラインを追っていた。しばらくして、これはどうやら信憑性皆無のガセだと判断し、安心して息を吐いた。その瞬間、知らず知らず口から漏れたのは、「なんだよ。不吉なこと言うからびっくりしちゃった〜」という一言だった。 

 はた、と、我に返る。

  不吉?
  結婚て不吉なことだったっけ?

  茫然とした後、一気に罪悪感に襲われた。だって、彼にとってのとてつもなく大きな幸せになり得るであろう結婚を、一瞬のこととはいえ全力で拒絶してしまったのだ。 その後職場に帰ったが、仕事はぜんぜん手につかなくて、終業まで心ここに在らずだった。結局その日、仕事中何度も盗み見たTwitterのタイムラインに新情報は何一つあがらなかった。



  そしてタイトルにつながる。
  毎日毎日、わたしは自担からたくさんの幸せをもらっている。プリチーな笑顔、エロいオスの顔、ギターを弾く真剣な顔。彼は、いろいろな表情を、雑誌やテレビ、ときにはドラマや映画など、様々なものを通してわたしに見せてくれる。彼に仕事が決まればそれだけで嬉しいし、欲しい言葉だってたくさん言ってくれるし、歌声も披露してくれる。その度にわたしは喜ぶ。気持ち悪いくらいニタニタしながら奇声をあげて喜ぶ。自担と向き合うときのわたしは、人間をやめている。

  与えられてばかりのわたしは彼の幸せを、笑顔を直接作ることはできない。せいぜい彼の載ってる雑誌や出演作品の媒体を積極的に買う『お得意さん』になるくらいのことしかできないのだ。それも彼から与えられるものに比べれば、微々たるものだ。なのに、わたしは、彼の結婚の二文字に酷く胸を重くし、拒絶した。
  彼はアイドルという職業をしていて、なんだかすごい一流事務所に所属していることを除けば、ただの東京在住の31歳男性でしかない。彼の顧客である全国津々浦々の女たち(わたしを含む)に、金を落とし続けてもらえるのかという最大の問題点を乗り越えられたなら、彼はいつでも結婚できる。生涯添い遂げる1人の女を選んで、家庭を作ることができる。そう考えたら、わたしが見ている、知っている彼なんて、業務遂行中の彼でしかなくて、それもほんの一部でしかない。近くにいる家族や友人のことさえ全て把握できるわけなどないのに、ましてや遠くの自担について隅々まで知ることなどできるはずがない。そんな当たり前のことを実感して、寂しくなって、凹んで、貪欲な自分に気がついてバカみたいだなと笑った。

  わたしはわたしでクソ田舎の、猿が遊ぶような山奥在住の20代の女だ。美人ではないしブサイクなわけでもない。5年くらい彼氏がいない。恋もしていない。そんな枯れ果てた生活の中に突如現れたオアシス(自担)に救われている干物だ。自担のことが大好きで、自担以外異性として見られず、身近な男たちをじゃがいもとして見ているような生活を8ヶ月近く送っているし、たぶんあと数年はこれが続く。だけど、今後わたしの人生において、自担と運命の巡り合いを果たす日が来ないと割り切ってはいる。
  なのに、欲張りなわたしは自担が誰かのものになってしまうなど考えたくもない。

  ふと、自担のどんな所が好きなんだったっけと考えた。いっぱいありすぎて言い切れない。言葉に表せないようなマニアックなのも数えきれないくらいある。だけど、一番はあの笑顔だと思っている。一目惚れした、あの笑顔。
  だけど、あの笑顔だけではたぶんここまでわたしの心を鷲掴みにすることもなかった。掘れば掘るほど出てくる彼の『いい人』エピソードだ。メンバーからは、あんなに優しやつはいないと言われ、彼と遭遇した一般人にも『優しかった』と喜ばれ、共演した方にも『礼儀正しく、まっすぐな好青年』と絶賛される、彼のそんな人柄。グループでは決して目立つ方じゃないし、もっとグイグイ行けばいいのになんてこちらがヤキモキしてしまうほどに人を優先する彼。そんな、どこまでもお人好しな彼だからこそ好きになったのだと思う。

  とても心が優しく、清らかで、温かい人だ。生きることにひたすら前向きな人だ。だから、もしも彼がここにいたとして、わたしに嬉しいことがあれば一緒に手を取り合い喜んでくれるだろうし、悲しいことがあればそばにいて痛みを分かちあってくれるのではないのかな〜なんてぼんやり妄想をしていた。そうしたら、わたしのその日1日のモヤモヤは消え去った。わたしの幸せを喜んでくれそうな彼の幸せを、わたしも一緒に喜べるようになりたい、と思った。
  

『ついてこい』
  1ヶ月前のコンサート。ギターを抱えた彼が男前な笑みを浮かべながら、会場にいる5万人にまっすぐな言葉を与えてくれた。彼のアドリブに歓声があがり、わたしも涙ぐんでいた。その情景を今でも思い出して胸が熱くなる。
  なのに。彼はそう言ってくれたというのに、おきざりにされることを拒み不安になっていた自分。わたしは、わたしが知らない彼が存在することに恐怖し、結婚することでわたしの知らない彼が更に増えてしまうことをイヤがっていたのだ。だが、わたしが自信を持って信用している彼が、どうしてわたしをおきざりにしていくことがあるのだろう。どうして間違えた選択をするだろう。『ついてこい』と彼は言ったのだ。彼が選ぶ道ならば正しいに決まっている。
  とても誇らしい気持ちが蘇った。そうだ、安心してついていこう。

  「ぜったいふりむくわけにはいかないぜ〜」 
  帰り道、星空の下、なんだかんだ一周回ってスッキリしたわたしは静かに呟いたのだった。